デンマーク政府は2025年、人の顔や声などの生体データに著作権を与えるという法律を提案しました。
目的は、ディープフェイクの悪用を防ぎ、個人に外見や声のコントロール権を与えることです。
しかし、この提案には大きな問題があります。
- 法的に無理がある
- 著作権は創作物にしか適用できません。
- 顔や声などのデータは「発見されたもの」であって「創作物」ではないため、著作権で保護するのは不適切です。
- すでに個人データ保護法がある
- 個人の顔や声の利用は、欧州の個人データ保護法や肖像権ですでに規制可能です。
- 新たな著作権は重複し、混乱を招きます。
- 個人のデータが「商品化」される危険
- 著作権を持つと、データをライセンスとして売ることが可能になります。
- 一度売ると取り戻せず、研究や産業での自由な利用が妨げられます。
- 結果として、科学研究やAI開発のコストが急増し、停滞を招く恐れがあります。
- 過去の事例
- 人のゲノム情報や細胞・組織に著作権や所有権を与えようとした試みがありました。
- しかし、結局は「データは発見物であり、個人が直接的に商業権を持つのは難しい」という結論に至っています。
- その一方で、過剰な商業利用は倫理問題を引き起こし続けています(例:ヘンリエッタ・ラックスのHeLa細胞)。
- 提案の代替案
- 個人ごとの著作権ではなく、データ利用による利益を社会全体で分配する仕組みが望ましい。
- 例えば、生体データの利用で得た利益の一部を、研究・医療・公共データ基盤の整備に回す仕組みです。
まとめ
- 顔や声への著作権付与は、法的に無理があり、個人のデータを商品化してしまう危険がある。
- 研究や社会全体の利益を守るには、データ利用益を集団的に還元する仕組みの方が合理的です。
A longer version in English is here.
