米国は、海外で製造された新しい接続型電力インバーターや高度なロボット機器を、安全保障上の理由から規制対象に加えました。この判断の重要な点は、単なる製品の技術的な欠陥ではなく、外国の技術に依存し、その国から遠隔操作される可能性そのものを「脆弱性」と考えていることです。この考え方を一貫して適用するなら、欧州連合(EU)もまた、自らの行政機関、公共サービス、インフラが米国企業のプラットフォームやアカウントに依存している現状を検討する必要があります。
米国が外国製インバーターとロボットを規制
- 2026年7月28日、米国連邦通信委員会(FCC)は、新しい種類の電力インバーターと外国製ロボットを、米国内で購入できない製品のリストに追加しました。
- インバーターとは、直流電流を交流電流に変換する電子機器です。
- ただし、すべての製品が例外なく禁止されるわけではありません。
- 「条件付き承認」という制度があり、国防総省または国土安全保障省が、特定の機器が国家安全保障上、容認できない危険をもたらすかどうかを判断できます。
規制の理由
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- FCCは、インバーターが遠隔操作できることを「脆弱性」と考えています。
- 外国企業がインバーターを停止させる可能性があります。
- データを収集したり盗んだりする可能性があります。
- 外国政府関係者による遠隔アクセスや監視を容易にする可能性があります
- サイバー攻撃によって悪用される可能性もあります。
高度なロボットについても、ネットワーク接続機能そのものが問題とされています。
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- ネットワークを通じてデータを操作される可能性があります。
- ロボットの物理的な動作を操作される可能性があります。
- 外国製ロボットに依存することは、サプライチェーンとサイバーセキュリティの両面で、容認できない脆弱性を生むとFCCは考えています。
- ロボットが収集するデータが、米国市民の監視に利用される可能性もあります。
- 外国の情報機関の能力を高めるために使われる可能性があります。
- ロボットそのものを遠隔操作される可能性もあります。
技術的な脆弱性」から「戦略的な依存」へ
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- FCCの判断を理解するには、「脆弱性」という言葉の意味に注目する必要があります。
- 通常、技術分野でいう脆弱性とは、製品やソフトウェアの設計、製造、使用方法などに存在する欠陥を意味します。
- 製品が故障して被害を起こす場合。
- ソフトウェアの欠陥が悪用され、不正行為に利用される場合。
- しかし、FCCが問題にしている脆弱性は、この意味とは異なります。
- インバーターが故障することを心配しているのではありません。
- プログラムの欠陥によってロボットが暴走することを心配しているのでもありません。
- むしろ問題は、その逆です。
- これらの技術が正常に機能するからこそ、外国から確実に操作できる可能性があります。
- そのような技術が広く使われれば、米国の経済や産業の重要な分野そのものが、外国の影響を受ける可能性があります。
- つまり、FCCが「容認できない脆弱性」と考えているものは、簡単に言えば**自律性を失うこと**です。
国家安全保障と経済的依存
- この問題を解決することは簡単ではありません。
- 関税をめぐる問題からも分かるように、米国と中国の産業、金融、政治の関係は非常に深く結びついています。
- そのため、どちらの国も完全に強硬な立場を取り続けたり、過度な緊張を生み出したりすることは困難です。
- 少なくとも短期的には、報復措置と相互の譲歩が繰り返される可能性があります。
- しかし、米国当局が示している懸念そのものには、明確な理由があります。
- エネルギーのような重要な分野の機能を、「友好的ではない」国から入手した部品や材料に依存させてよいのでしょうか。
- さらに、その部品を米国外から遠隔操作できる状態にしてよいのでしょうか。
- しかも、それを操作する主体にとって、米国の利益が最優先ではない場合には、問題はさらに大きくなります。
EUの消極的な戦略
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- ここで同じ論理をEUに当てはめると、別の問題が見えてきます。
- ≤米国」を「EU」に、「中国」を「米国」に置き換えて考えることができます。
- FCCが採用した脆弱性の定義が正しいのであれば、EUも自らに同じ質問をしなければなりません。
- EUや加盟国の行政機関のますます多くの部分が、外国企業のソフトウェアだけで動いている状況を、なぜ受け入れることができるのでしょうか。
- そのソフトウェアはデータを収集できます。
- そのデータが市民の監視に利用される可能性があります。
- 外国の情報機関の能力を高めるために利用される可能性があります。
- システムやインフラを遠隔操作するために利用される可能性もあります。
米国の「権力政治」とEUのリスク
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- 現在の米国の戦略は、古くから存在するプロイセン由来の「Machtpolitik(権力政治)」に基づいていると見ることができます。
- これは、国家の目的を達成するために、政治的・経済的な力を現実的に利用する考え方です。
- そのため、EUや加盟国が米国企業に対する制裁や規制を強化した場合、米国が関税などによって対抗する可能性を完全に否定することはできません。
- さらに、たとえ示威的な措置にすぎないとしても、米国政府がBig Tech企業に対し、欧州の機関がプラットフォームを利用するためのアカウントを停止するよう求める可能性も、理論上は排除できません。
アカウント」は主権に関わる問題
- FCCの決定は、意図したものではないとしても、EUが技術的自律性を実現するうえで抱えている重大な問題を示しています。
- それは、現代の技術環境全体が「アカウント」という考え方を中心に構築されていることです。
- 多くの機器、ソフトウェア、サービスは、利用するためにアカウントを必要とします。
- しかし、この仕組みはFCCが指摘した問題と同じ特徴を持っています。
- 外国の主体が遠隔からシステムに影響を与えることができます。
- 機器やシステムを利用する人々のデータを収集できます。
- 必要であれば、そのサービスやシステムを利用できなくすることも可能です。
問題は中国か米国かではない
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- この問題の本質は、どの国を信頼するかということではありません。
- 中国であっても、米国であっても、あるいは他の国であっても同じです。
- 国家や地域が、自らの重要な行政、サービス、産業、インフラの機能を外国の技術や遠隔管理に依存しているのであれば、それ自体が戦略的な脆弱性になり得ます。
- FCCの論理を一貫して適用するなら、技術的自律性とは、単に安全な製品を使うことではなく、**自らのシステムを自ら管理し、外国から停止・監視・操作されない能力を持つこと**を意味します。
A longer text in English is here.
